2006/10 発行
 以前の仕事場は、産婦人科の一角を借りて不妊専門の診療を行なうものでした。そこで、アメリカで修行してきたことを自分なりに研究し、顕微授精ではピペットから作り出し、培養液を工夫するなどして個々の患者さんの治療成果を上げ、できるだけ早く妊娠・出産していただくことを励みとしていました。
 長期化する不妊治療は、患者さんの精神的、経済的負担を大きくするため、半年、1年で結果の出せる治療をしようと、それはもうがむしゃらに診療をしていましたね。
 その時に、会話の足りなくなる部分やこれから治療を考えていらっしゃる方からのふれあい窓口として患者さんの落書きノートやインターネット相談コーナーを設けたのがはじまりなんです。    浅田義正

先生と患者さんとの歴史とも言えるQ&A集

先生は質問の1つ1つにどんなお気持ちで答えられていましたか?

 いろいろなケースがあるのでひと口では言えないものがありますね。
 もともと空いた時間をみて答えるようにしていたのですが、答えるからにはエビデンスに基づいて『今ある医療レベルではこう考えるんだ』という答えをするようにしていました。
 ただ質問にもいろいろなケースがあり、初歩的なものから雑誌などで紹介された最新の治療がすぐに受けられるのか、などのように幅もあります。
 また最初からこんなにたくさんの質問があったわけではなく、1つ1つの質問に答えてきた積み重ねで、同じような質問も多く、それら1つ1つに対応してきたのがこれだけのボリュームになったんですね。

そもそも先生が相談を受けるきっかけとなったのはなんだったのでしょう?

 情報交換の場が欲しいという患者様の要望で、ノートを用意したんです。何を書いてもいいという『何でもノート』ができて、その中にいろいろな質問も書かれていたので、それに対して少しづつ答えていこうということが始まりでした。最初の頃はメールでも答えていました。
 でも、メールの場合は他院に入院中とか通院中の方から、『主治医に聞きづらいから』と質問をされるのですが、その方の情報を持っているのはこちらではなく主治医ですから、困ります。
 入院中の方は、すでに主治医が管理されている方たちですから、『それは主治医の先生に時間をとっていただいて、じっくり話されたらどうですか』と、そう言うしかないですよね。
 メールはそんなに多くの人でなく、特定の人が何回も何回も相談に来るケースが多かったです。『何でもノート』の方は完全に当院にかかっておられる方なので、そんなに偏っている内容じゃないのですが、メールの方がマニアックな傾向にありました。

治療を受けられている方、これから受けようとしている方にメッセージを!

 不妊治療に関してだけでなく、広くいろいろな情報を手に入れて、それで自分で納得することが大事だと思います。何かをやっていく上で『人に勧められたから』という理由ではなく、自分で納得し決めることです。ですから極端な話、Dr・ショッピングも上手にやれば、自分に合うドクターに会える機会も広がりますから、幅広く柔軟に考えた方がいいのではないでしょうか。
 それから、不妊治療は期限付きです。手遅れがあり得るものです。だから時間を無駄にして欲しくないです。診療をしていて『この人、3年前に来てくれたら、5年前に来てくれたらなんとかできたのに』ということが一番悔やまれることです。そういう手遅れもあり得ることが、大事なメッセージの1つです。
 あなたの疑問や不安、このQ&A集「おしえて、先生! ありがとう、先生!」の中に答えがみつかるかもしれません。

  <不妊に関わるあなたにもお薦めの1冊です>

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