2007/10 取材

 

私たちの、多胎防止への取り組みを紹介

『i-wishママになりたい』でもすでに何度か取上げている多胎問題。
そして有効策としての単一胚移植の話題。
実際に、治療現場ではどのように取り組みは進んでいるのでしょう。  

 大阪府の医師会は上記、多胎妊娠防止のための胚移植に関する提言をしています。大阪には不妊治療施設が数多くありますから、この効果は大きいに違いありません。同じく、東海地区・名古屋にも不妊治療施設は数多くあります。そして、各施設それぞれに多胎問題についても取り組んでいるようです。
 ここでは、浅田レディースクリニック(春日井市)の取り組みを届いた資料からご紹介します。
 こうした取り組みが、不妊治療の流れの中でいかに大切か、そして結果がもたらす今後への期待と、社会的な利点にもつながっていることに、ぜひ注目ください。
 あなたが妊娠を望み、移植胚を多く戻せば妊娠率は上がる! と思っていらっしゃったら、尚更、一度考えて欲しいことです。
 確実に妊娠を望み、叶えたいと思っている患者さんにとっても、安心、安全、快適育児へつながる話とも考えられます。

患者さんの持つ情報、意識変革も大切
    つまりは昨今、単一胚移植や選択的単一胚移植でも妊娠への成績は下がらないことが多くのクリニックから発表されているのです。

 そのことを治療者側も、受療者側も受入れていく時なのです。

半数の患者さんが、双子までなら妊娠してもいいと思っている(夫婦では女性の方が割合が高い)けれど、危険はいっぱい!

(浅田レディースクリニック調査)



東海地区で産婦人科医会に予防の試みを発表した浅田医師の資料によると
 浅田レディースクリニックでは、多胎予防のための説明会で下記スライドを使用して多胎の危険性を伝えています。
 ACOGとは、アメリカ産科婦人科医学会のことで、この文字の中にある事実をみなさんは、どう受け止められるでしょう。
 浅田医師が最終行に綴る『一度に2人と考えず、計画的にひとりづつ妊娠しましょう』との文字は、まぎれも無く、患者へのメッセージ。不妊治療に助成金が支払われ、あたり前のように普及してはいるものの、それゆえに患者自身の危険性への認識は、得てして忘れがちにもなりやすいかもしれません。
 文中にある、1才までに死亡し、生きても後遺症が残る場合のケアも想像するにきびしいものです。



リスクを伝え、その上で努力した結果も発表
 『近年、生殖補助医療技術(以下ART)の普及と発展により不妊症治療は大きく変化してきた。特に顕微授精法の進歩は、多くの不妊患者の治療に貢献してきた。一方、少子高齢化している我国で、急速に晩婚化、晩産化が進んでいる。産婦人科、小児科も斜陽と言われ続けてきた中で、その人手不足が顕著となり、社会問題化している。そうした産婦人科および新生児医療の危機が叫ばれている中で、不妊治療に伴う多胎の増加がさらに周産期医療、新生児医療に大きな負担をかけ問題となっている。多胎妊娠の防止は不妊治療における重要かつ緊急の課題である』
 として、浅田レディースクリニックでは、取り組んできた多胎予防の試みについて、その経過と結果を次のように発表しています。
 『2005年より体外受精・顕微授精を実施し、新鮮胚移植あるいは凍結受精卵・融解胚移植を施行した患者の多胎率について検討した。それまで、症例ごとに個別に判断してきた胚移植数について、2005年より年齢別にガイドラインを作成。その後の多胎率の推移を検討し、2006年、および2007年にさらに厳しく変更した(表1)。同時に受診前説明会、体外受精説明会で多胎の危険性について繰り返し説明し、患者の意識改革にも取り組んだ。
 すべての年令層を対象(年令・回数を制限しない)にした全症例において2005年では妊娠率34・7%、着床率16・0%、多胎率29・4%と2個移植の増加は双胎の減少には繋がらなかった。2006年では妊娠率29・4%、着床率16・4%、多胎率20・9%となり、多胎率ともに妊娠率の低下となった。2007年1月から6月までは妊娠率34・7%、着床率20・9%、多胎率12・7%となり、妊娠率を下げずに多胎率を下げる目標に近づきつつある(表4)。

 選択的単一胚移植は多胎予防にはきわめて有効である』

表1

表2

表3/現在では35才以下の50%以上(全体の40%以上)が単一胚移植


多胎率は目標まで下がりつつも妊娠率は変わらず
 つまりは、グラフの治療成績を見てお分かりのように、妊娠率を下げずに多胎率は30%近くから10%近くまで下がったということです。
 不妊治療(ART)施設は今や全国に700ともいわれる数です。浅田医師の取り組みは、全国の医師の決断&取り組みであって欲しいことなのです。
 全国の3割が1割に減ることの効果が、もはや緊急課題として目の前にあるのです。

表4


望まれているさらなる治療技術の進歩
  患者さんの幸せのためには、「できるだけ早く妊娠させてあげたい」と願う浅田医師は、今後の単一胚移植の課題について最後に次のように付け加えています。

 『しかし、選択的単一胚移植は高齢患者、ART反復不成功患者にもすべて適応できるものではない。今後、更なる検討が必要である。単一胚移植は必然的に胚盤胞移植が増加するため胚盤胞到達率向上が課題となり、ラボのレベルがより重要となった。また、従来の形態学的な胚のグレード判定だけでは限界があり、染色体診断や胚の代謝活性等の新しい胚選択のマーカーの出現が待たれる』


上に戻る
(c) Copyright CION Corporation 2003 All right reserved