九州・大分でセント・ルカ産婦人科といえば不妊を患う人にとって知らない者はない。そんな冠がつくほど婦人科不妊医療においては堅実な歴史を誇っている。そして、ここセント・ルカ産婦人科は開院当時より保存されたデータを定期的に分析して学会で積極的に発表し、治療の価値観を社会に伝達する医療施設としても有名なのです。
東京はじめ他地域から行くには福岡経由がお薦めだ。福岡から特急ソニックで別府温泉泊、セント・ルカへ。そんな旅で出会えるセントルカ・宇津宮先生は、格別にひと味違うドクターとなる。
ただし、大分駅から豊肥本線上りで滝尾駅下車される方は、無人駅でタクシー案内板を見て、タクシーを呼ぶのがよい。徒歩7分とはいえ、はじめての方には少し地理感覚が不安な街並かもしれない…。
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宇津宮隆史 院長
プロフィール
1949年 大分県大野郡大野町生まれ
1967年 大分上野丘高校卒業
1973年 熊本大学医学部卒業
1973年 九州大学温泉治療学研究所(別府)入局
1981年 医学博士
1988年 九州大学生体防御医学研究所講師
1989年 大分県立病院がんセンター第二婦人科部長
1992年 セント・ルカ産婦人科開設
趣 味
登山(日本山岳会東九州支部副支部長)
写真(風景写真を好む・大分県美術協会会員)
スキューバダイビング(世界の海に出没中!?)
茶道裏千家
現 在
日本不妊学会評議員・日本産婦人科学会会員
日本受精着床学会会員・アメリカ不妊学会会員
ヨーロッパ不妊学会会員
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検査も治療も、心のケアも万全に 初診時には半日をかけて

実際は、セント・ルカ産婦人科に初診でかかる場合、遅くても朝10時半までには行かなくてはなりません。
午前中80名以上診察し、なかなか患者さんとゆっくり話のできない院長にかわり初診では、診察終了後に専門の教育を受けた看護師がじっくりと時間をかけ、その後の検査や治療の内容、流れの詳しい説明を約30分〜1時間行ないます。すべてが終了するまでに半日かかることも珍しくないのだそうです。よく患者さんが言われる「病院で何を話したのかわからない。何を言われたのか分からない。診察なんてあっという間で…」などはもってのほか。診察に出かける前に自分の基礎体温表、メモ帳は必携。しっかりと自分の目で見、自分の耳で聞き、メモを取らないと自分の治療は始まりません。
患者さんご夫婦が受ける検査・治療ですから、ご夫婦で納得して受診、治療をきちんと自分たち夫婦のこととして捉え、夫婦で乗り越えていって欲しいと願う宇津宮先生の想いです。
先生は熱く語り始めました
「私たちは、来院された皆様が9割9分妊娠することを信じています。そのためには1人1人ときちんと向き合い、徹底的に検査をして、1つ1つの治療を進めていく必要があるのです。
また、心と身体は1つです。不妊に悩む人の多くが『どうして私だけが?』との気持ちに囚われやすいため、同じように『ママになりたいと願う人』と交流を持つことによって落ち着きを取り戻し、治療を前向きに捉えていくことができるようサポート、サークルも活動しています。これが40歳以上の方が集まっていろいろなお話をする『オリーブの会』。
他に毎回対象者(30才未満の体外受精経験者、35才以上の未出産の方など)がかわって、卒業生を交えてお話をするART
OG会の『ガーネットサークル』。
グループで顔を合わせて話すことにより、自分だけが苦しいのではないことがわかって治療に前向きになれます。実際、同じように治療を受けて妊娠・出産した人の話でパワーをもらい、自分へのエネルギーとして還元させる。会に出席した多くの人が『前向きになれた』『希望が持てた』『励みになった』と話しています。
一方で、治療をすれば必ず妊娠するものではないという厳しい現実もありますから、その時もご夫婦で乗り越え、最終的に夫婦2人の生活を選ばなくてはならない時がきたとしても、不妊治療は自分たち夫婦の歩みの1頁であり、不妊治療を人生の全てと受け止めてしまわずに、例え子どものいない生活であっても2人の生活を楽しんでいけるようにサポートしていくことも、私たちの大事な役目です」
先生の誠実さが滲み出るお話に、取材スタッフも気が引締まります。
データ収集、そしてネクスト・高度生殖補助医療

セント・ルカ産婦人科での大きな診療の流れは、外来診療(様々な検査・一般不妊治療)を半年ほど行ない、腹腔鏡検査、AIH、ARTへと進んでいきます。もちろん全ての人が同じとは限りません。それぞれの個々の状態によって検査・治療内容は変わります。
最初から体外受精を目指しても、きちんとした検査データがない限りは無闇に体外受精をすることはありません。徹底した検査、検査からのエビデンス。その上で妊娠できない方に体外受精をしています。最後の最後の手段としての体外受精をするため、そこへ行くまでに時間はかかりますが、1st ARTで妊娠される方が実に多いのだそうです。
1人1人のデータはもちろん個人のものですが、そのデータを今後の医療に役立てようと収集&解析して発表し、それら1つ1つの解析がよりよい治療へと導くことを信じて止まない姿勢。
セント・ルカ産婦人科に隣接するセント・ルカ生殖医療研究所では、体外受精をされる患者さんの採卵、精液の濃縮洗浄、受精、胚移植が行なわれますが、この姿勢はもちろん研究所にも反映されています。
スタッフ教育も熟練された技術と細やかな神経を必要とする顕微授精ができるようになるまで実に2年をかけ、さまざまな実験(マウスなどによる)が行なわれ、エンブリオロジスト(培養士)の養成という大役を担っています。
さあ、期待を持って語ろうじゃない。ネクスト高度生殖補助医療。
そんな熱いハートが、大分セント・ルカ産婦人科で変わりなく息吹くのも、つまりは永遠に子どもを願い大切にする、社会の、そして母のためであって欲しいと取材スタッフは研究所を含めた充実の院内を見学するのでした。