2回目からの体外受精で大切なことは、 1回目の体外受精でも大切なこと 子どもを授かるための体外受精 その意味をよく考えた治療を!...②

みなとみらい夢クリニック院長 貝嶋弘恒先生のお話

2018年8月発行『i-wish ママになりたい 2回目からの体外受精』

たくさんの卵子が得られたら、何度も妊娠、出産できる?

年齢が低かったら、1回の採卵で複数回の妊娠や出産を経験する人もいるでしょう。

 しかし、年を重ねると卵巣機能の良し悪しに関わらず卵子の質の低下が心配されますので、1回の採卵でたくさんの卵子を得ることができても何度も妊娠をするとか、子どもを授かること自体も難しくなってきます。

 ですから、たとえ得られる卵子が1個だとしても、自然周期で自分が育てた卵胞で妊娠へトライするのがいいのです。

 子どもが欲しくて体外受精に挑戦しているわけです。排卵誘発で卵巣に必要以上の負担をかけてしまって卵子が得られなくなるのは本末転倒です。目的は子どもを授かること。そのための方法の1つに体外受精があるのです。


妊娠判定が陽性だった人は次の周期はどうしたらいい?

妊娠判定が陽性だった人は、子宮内膜が胚を受け入れることができ、そして移植時期も適切だったということがわかります。また、妊娠が成立しなかった原因は、胚の問題であることがほとんどです。

 ですから、次周期も同じような方法でトライしてみていいと思います。

 凍結胚がある場合には、同等のグレードであれば、次も移植を考えていいでしょう。中には、同一周期の卵子からできた胚で妊娠できるの? と心配される人もいますが、卵子は1つ1つ違うもので、また違う精子と出会って胚ができていますので、まったく違うものとして考えていいと思います。

 ただ、胚のグレードとその人の年齢の妊娠率を考える必要があります。妊娠率は、年齢を重ねるごとに下がりますから、それを念頭に入れて胚移植を受けましょう。

 また、胚のグレードは、実際の遺伝子の状況と同じではありません。グレードが良くても遺伝子に問題を持っていたり、あまりグレードが良くなくても遺伝子に問題はなく妊娠、出産に至るケースもあります。

 移植周期については、順調な月経周期であれば自然な排卵を待って胚を移植するのがよいでしょう。


妊娠判定が陰性だった人は次の周期はどうしたらいい?

妊娠判定が陰性だった人で、何度も良好胚を移植している場合は、着床時期があっているかが問題になるため、ERA検査を行うのもいいでしょう。

 着床する時期には、子宮内膜が受精胚を受け入れることのできる着床の窓(Implantation Window)が開いている間であることが大切です。

 通常、排卵から4.5~5日後に子宮内膜は胚を受け入れられるようになります。胚盤胞は、受精から5日目くらいですので、この着床の窓が開いた時期と胚移植のタイミングが一致していれば着床していくわけです。

 ですが、この着床の窓が開く時期には個人差があり、前にずれていたり、後ろへずれていたりする場合があります。少し後ろへずれていると、着床の窓が開いている期間が狭くなってしまい、限られた期間に移植しなければなりません。そのようなケースでは、自然な排卵を待って胚盤胞を移植するのではなく、着床する期間を広げることができるホルモン補充周期で胚盤胞を移植するのがよいでしょう。

 また、胚盤胞での移植の方が妊娠率が高いのですが、初期胚の方がいいケースもあります。

 胚移植は、プロゲステロン(P4:黄体ホルモン)の値も重要なポイントです。

 プロゲステロン値が低い間は、子宮内膜は子宮から卵管へという蠕動運動を繰り返し、やがて卵管から子宮へという蠕動運動になり、そして、プロゲステロン値が高くなると子宮内膜の蠕動運動は止まり、胚盤胞は着床しやすい環境になります。

 初期胚は、この蠕動運動を繰り返す時期に移植します。初期胚と子宮内膜の関係は、まだわかっていないこともありますが、初期胚の成長が子宮内膜への刺激となって着床環境を整えているのではないかと考えています。


2回目からの体外受精で大切なことは、 1回目の体外受精でも大切なこと 子どもを授かるための体外受精 その意味をよく考えた治療を!...①

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みなとみらい夢クリニック 貝嶋弘恒先生のお話

2018年8月発行『i-wish ママになりたい 2回目からの体外受精