どうして赤ちゃんができないのかなと、少しでも悩んでいるなら病院へ相談や検査が妊娠への近道になります...①

虹クリニック 吉田宏之先生のお話

2018年11月発行『i-wish ママになりたい 20代・30代・40代の不妊治療』

松本レディースクリニック
松本玲央奈副院長

荻窪病院は、学園や寺院、そして広々とした公園に隣接し、長年、地域の中核病院として重症患者さんや救急車の受け入れを行う急性期医療を行っています。現在、不妊を専門に扱うクリニックが多いなか、この荻窪病院が母体となってより駅近に開設されたのが虹クリニックです。お互い、密に連携し合い診療にあたっています。女性と夫婦を診る虹クリニック。産科や泌尿器科(男性不妊)を備えた荻窪病院。具体的にどんな治療が可能なのでしょう?


コレしかしない!ではなく、患者に合わせた治療を選択する

■どのような方針で治療を行っているのでしょう?

分かりやすく言えば、治療にあたって、「当院ではこのような治療になります」と伝えるのではなく、患者さんに合わせた方法を提案していく形をとっています。

 すぐに体外受精を勧めていくというわけではありませんし、他院で一通り治療をしていて、次は積極的に体外受精を行いたいとの希望であれば、以前の治療をムダにしないためにも体外受精をする場合もあります。

 よく、不妊治療ではタイミング法から人工授精、そして体外受精へとステップアップするのが定型とされるのですが、状況によってはステップダウンをすることもあります。

 他院(東京都内だけでなく埼玉県など)から転院される方も多く、平均年齢は高めで40歳くらいとなり、とくに体外受精を行うときには注意深く治療するようにしています。


電子カルテが共有されているから手術や男性不妊も速やかに対応可能

■母体の病院とクリニック。その診療体制はどのように?

医師は7人いて、本院の荻窪病院と不妊治療を専門に行う虹クリニックを行き来しながら診察にあたっています。主治医がいても、7人全員で情報を共有して意見交換をします。

 7人いれば、さまざまな視点から考えることができ、患者さんにとってよりよい方法がとれると考えています。

 また、虹クリニックと荻窪病院で電子カルテが共有されているので、情報の共有もスムーズにできます。手術が必要なときに速やかに受けられますし、もちろん、術後の経過をみることもできます。

 そして、ご主人の精子に問題があったときには、本院の泌尿器科医師に診てもらうこともできます。最近では、先にご主人が泌尿器科で検査を受け、「精子に問題があったので、人工授精(もしくは体外受精)をお願いできますか?」と紹介されるケースも増えています。女性に比べて男性不妊を専門に診療できる医師はまだまだ少ない現状ですので、その医師(泌尿器科生殖医療専門医)がここにいると知り訪れる方も多いです。

 TESE(精巣内精子採取術)などの手術も可能ですので、子どもを願う女性と男性、夫婦をしっかり診れる体制というのが良いですね。


「不妊治療だけ」ではなく、不妊治療から出産までをバックアップ

■不妊のあと、つまり妊娠したときには、その経過も診ていただけるのですね?

不妊治療を担当し、必要に応じて手術をし、その後、妊娠したら経過をみて、出産までを含めてバックアップすることが可能です。私自身、そういう診療をしたいと思っていますし、それが喜びにつながるものと思っています。患者さんからも、「不妊治療から出産までお世話になって嬉しかったです。なかなか、そういうことができる病院はないので」といったお声をいただいています。これが当院の特長であり、不妊治療を専門にしている単科のクリニックとの違いといえるでしょう。


どんな治療を受けているのか、夫婦で理解し、同じ気持ちで治療を受けることが大切

■治療を受ける、あるいはする上で大切になることは何でしょう?

治療については、ご夫婦で同じように理解し、同じ気持ちで臨むことが大切だと思います。そのため、実際にそうできるように心がけています。

 例えば、初診のときに奥様一人でいらっしゃっても「病院でどのような検査を受けて、結果はどうだったのか、また、どのような説明があったのかなど、ご夫婦で話合ってくださいね」と、必ずお伝えします。

 体外受精をご希望の場合は、パンフレットを用意して必ず、お渡ししています。なかなか病院に来られないご主人もいますから、パンフレットを見ながらご夫婦で話をしてもらいたいのです。体外受精について理解するのはなかなか難しいでしょうから、お渡しする資料などを参考にしながら、ご夫婦でじっくり理解を深めていただきたいと思いますね。病院で話を聞きたいというのであれば、相談外来にいらしてください。

 そのように情報提供やコミュニケーションの機会を持つことを大切にしています。

 そうすることで、以前は女性主導で治療を進めていくうちに夫婦関係がぎくしゃくするケースもあったのですが、最近、それが減ってきていると感じています。子どもは夫婦ふたりの間に授かるものですから、とてもよい傾向だと思います。


どうして赤ちゃんができないのかなと、少しでも悩んでいるなら病院へ相談や検査が妊娠への近道になります...②


虹クリニック 吉田宏之先生のお話

2018年11月発行『i-wish ママになりたい 20代・30代・40代の不妊治療