できるだけ良い精子を選別するのが役目です。...②

元町宮地クリニック 宮地系典先生のお話

2019年1月発行『i-wish ママになりたい 男性不妊の検査と治療』

精子の質を見ていくことでかなりの妊娠率アップが期待できるのですか?

かなりの確率というわけではないですね。それは患者さんごとに症状が違いますし、極端に精子の少ない方や無精子症の方もいますから…


TESEの妊娠率ともオーバーラップしてくるのでしょうか?

 たとえば無精子症の場合、閉塞性(精巣内で精子は作られているが精子の通り道が塞がっていること)と、非閉塞性(精巣内で精子が作られていない状態)があり、精子の通り道が詰まっているものと詰まっていないものと考えると分かり安いですね。詰まっているものは詰まりを除けば精子は採れます。いい確率で採れ、体外受精での成績も期待できますが、これが詰まっていない非閉塞性で無精子症になっている場合には、顕微鏡下で精巣内精子を回収する(MD-TESE)手術を行っても、精子は3割くらいの方しか採れません。

 これは全国平均の数字ですから、やはりそこからの精子回収となるときびしい状況です。

 そして、非閉塞性の場合、採取した精子の形を持ったものを卵子に入れてあげないといけません。精子の質は気になるところですが、その精子を検査したら、検査の段階で精子自体がダメになってしまいます。TESEを行った精子に関してはそのまま卵子に入れて受精を見守るしかありません。


どのくらいの確率で妊娠するのですか?

閉塞性の場合は、高いと思います。それは精巣が大きく見た目や触診でわかります。それが、何らかの病気をしたり染色体の異常が有った場合やホルモンに異常が有った場合は、精巣が小さくなっています。染色体異常などの検査を行い、その結果によって手術を行うか、ご相談します。

 ただ、精巣内精子を回収する方法でも精子が採れない場合に行うホルモン療法に関しては、半年続けることで採れるようになるとしている施設もありますが、現実は難しいようです。治療費も結構かかります。


できるだけ良い精子を選別するのが役目です。...①

できるだけ良い精子を選別するのが役目です。...③


元町宮地クリニック 宮地系典先生のお話

2019年1月発行『i-wish ママになりたい 男性不妊の検査と治療

i-wishママになりたい

不妊治療専門誌i-wishママになりたいの中で取材したクリニックを紹介しています。