精子が採取できれば妊娠は可能です。腫瘍や糖尿病などの疾患があり精子数が少ない場合は、精子凍結をお勧めします。...①

オーク住吉産婦人科 多田佳宏先生のお話

2019年1月発行『i-wish ママになりたい 男性不妊の検査と治療』

オーク住吉産婦人科
多田佳宏先生


精子凍結や下垂体ホルモン投与をしたうえでの精巣内精子の回収など、新しい治療も取り入れているオーク住吉産婦人科。男性不妊を担当する多田佳宏先生にお話をうかがいました。


不妊治療を受ける男性は増えている

■男性不妊の治療を受ける方は以前より増えていますか?

 はい。ライフスタイルの変化に伴って来院する方も増えました。たとえば、以前お一人授かったけれど、しばらくして二人目を希望されて来院する方もいますし、再婚されて来院される方もいます。こうしたケースで女性の年齢が高い場合は早めのステップアップが重要ですが、ご本人からも「早く子どもがほしいのでステップアップしてほしい」と希望されることが多いです。


男性不妊と年齢の関係

■男性の場合も年齢が高くなると妊娠が難しくなるのでしょうか?

 女性の場合、年齢が重要なポイントになりますが、男性はそこまでの影響はありません。個人差が大きいですね。ただし、もともと精子が少なめの方は年齢を重ねるにつれて、さらに数が減ったり、場合によっては無精子になることもあるので、最初に精子凍結を検討したほうがいいでしょう。

 また、糖尿病を患っている場合、精子の状態は明らかに悪化します。糖尿病や高脂血症で使うコレステロールを下げる薬は、人によって男性ホルモンを下げてしまうのです。その影響で一気に精子がなくなることがあります。もちろん、糖尿病などの治療を優先すべきですが、お子様をご希望であれば、前もって精子凍結することをお勧めします。


顕微授精以外の選択肢

■男性不妊というと顕微授精が浮かびますが、その他の治療について教えてください。

 男性不妊には、精子の異常の他に、性交障害や逆行性射精といったケースもありますが、妊娠を目指すのであれば、精子を採取できればいいわけです。性交障害などのカウンセリング治療は、不妊治療とは別に進めていくことも可能です。カウンセリング治療は半年~1年と時間がかかるので、不妊治療と性交障害などの治療は別々に進めるという選択肢もあります。

 また、重めの精索静脈瘤だと手術を検討する場合もありますが、手術で改善するのは半数程度です。ですから、手術後、改善するのを半年程度待つという経過をたどるよりも、顕微授精をしたほうが早く妊娠に結びつく可能性は高いです。

 もちろん、どの方法を選択するかはご夫婦次第です。重度の精索静脈瘤の方が手術後3カ月で精子が確認でき、その後、改善されたケースもあります。何よりもご夫婦おふたりが納得する方法で治療を進められるのがよいでしょう。


精子が採取できれば妊娠は可能です。腫瘍や糖尿病などの疾患があり精子数が少ない場合は、精子凍結をお勧めします。...②


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